全国商店街おかみさん交流サミットで鹿児島に行って気付いたことがあります。
お醤油が甘いのです。
九州の各地でお醤油が他の地方より甘いという話はよく聞き、私も福岡や長崎に行った時に甘いと思いましたが、鹿児島のはそれよりもっと甘いように感じました。お刺身を食べるときに小皿に入れるお醤油も、小さじ1杯ぐらい砂糖を入れたのではないかと思うほどの甘さです。
鹿児島人はどうも甘い味がお好きなようです。
我が舞鶴が発祥の元祖肉じゃがは、鹿児島出身の東郷平八郎さんが当時の兵隊の栄養不足を改善するために、若い頃留学中のイギリスで食べたビーフシチューを日本海軍に導入しようと考えて作らせたとされています。
今から110年前(明治34年・1901年)の舞鶴にはワインやバターなどの調味料がなくて困った料理長が仕方なく、醤油と砂糖で作ったら今のような「肉じゃが」が誕生したということですが・・・・
鹿児島の甘い、甘い、お醤油に出あって 「ん?ん?ん?!」 と思いました。
舞鶴に日本でただ一つ残る海軍料理教科書に書かれている「肉じゃが」は『甘煮』とされているのです。
東郷さんは甘辛味が好きな鹿児島出身です。幼いころからなじんだ味は大人になっても美味しいと感じるものだそうです。ひょっとして東郷さんはビーフシチューを食べた時に、この材料をあのふるさと・鹿児島の甘い醤油で作ったらどんなにおいしかろう、と考えたのではないか・・と思い当たったのです。
『甘煮』という料理名もそれを表しているように思えてきました。
さて、真実はいかに。
とにかく美味しい肉じゃが。
東郷さんに私の作った肉じゃがを食べてほしかったなあ。「なかなかよろしい」とほめていただけるかしら。鹿児島の醤油をみながら110年前に思いをはせる料理長です。